「あの。よければ、今日だけ……いや、今夜だけでいい。俺と付き合ってくれないかな?」

「え……」



まさか、そんなことを言われるなんて思ってもみなくて、驚きの声を上げる。


そうしたら、相手もはっと我に返ったように急に慌てはじめる。



「ご、ごめん。変なこと言って。でも……俺、この夏祭り大好きで。帰りたくないんだ」

「私も……同じです」

「え?」

「私もこの夏祭りが昔から大好きなんです。──私からもお願いしていいですか?」



驚いたように目を大きく見開いたが、男の人は笑顔で頷いてくれる。



「あ……うん。こちらこそ、よろしくね」

「はい」



どうして、「うん」なんて言ってしまったのか。

分からない……分からないけど、この人となら一緒でもいいと思えたんだ。