めいっぱい抱きついて、優さんも強く、強く……私の体を抱きしめてくれた。

とにかくいっぱい抱きしめ合って、優さんの顔を見上げる。



「優さん……。ありがとう」

「俺も……。最後に、お願い、聞いてもらってもいいかな?」

「なんですか?」

「俺の弟……蓮にあったら、仲良くしてあげてね。ちょっと嫌なやつかもしれないけど……」

「優さんに全然、似てないんですね」

「ホントは優しいやつなんだ」

「分かりました」

「うん、ありがとう」

「私からも……お願いしてもいいですか?」

「ん?」

「行っちゃう前に……キス、してください……」

「──うん」



目をつむって、優さんのキスを受け止めた。

最後のキスだけは……少しだけ、ほんの少しだけ、暖かった──。



優さんの感触が消えて、目を開けると、そこに優さんはいなくて。

見上げると、空に小さな花火が見えた……気がした。

その花火が優さんに思えて……ううん、それはきっと優さんなんだと思って、そっと──しっかり聞こえるように



「優さん、ありがとう……」



と、つぶやいた……。


私に、最初に……それで、最高の思い出と優しいキスをくれて。