気持ちを落ち着けて
リビングに戻る。


「おかえり」

変わらない笠原。


「ただいま」

本当に結婚しちゃうの?
ねえ、笠原。


結婚するならお願い。
最後にもう一度だけ。





ソファに座る笠原の隣に座る。

「ねえ、陽佑?」

普段は呼ばない下の名前に驚いて
こっちを向いた彼にキスをする。

好きだよ。

行かないで。

結婚しないで。

気付いて。

そんな気持ちが伝わるように
わたしの思いを乗せて彼に抱かれる。






「…ありがと。好きだよ?」

寝てる笠原に思いを伝えるわたしはずるい。


彼が寝ている間に家を出た。