短編集 【ストーカー】



「カイトにフラれて・・・。
私をフッた本当の理由を知って・・・。

実はね・・・前日に私・・病室まで行ったんだ。

カイトには驚いた顔されたけど・・・てっきり怒られると思ったけど・・・・。

面会時間が終わるまで・・・ずっと他愛も無いことで2人で笑ってた・・。」


「・・そうだったんだ・・・・。」


「ある日・・・・。仕事終わりに・・
電車のホームに立った時に・・。

もう死のうって思った。

カイトがいない世界に・・私がいる意味は無いって・・。

もう私は死んだも同然なんだって。」


「・・・・・・。」



アカネさんはその時を思い出すかのように少し目を閉じた。




「電車が来て・・・線路に飛び込もうとしたら・・・前から突風が吹いたの・・・。」


「・・・・・・・。」


「まるで後ろから体を掴まれたみたいに・・私はホームに倒れ込んで・・・・結局死ねなかった。」



「・・・・・・。」



「偶然だったのかもしれないけど・・。

なんだか・・カイトに“生きろ”
って言われた気がして・・。

だからいつまでもいじけちゃダメだって思った。」