滅多にかかってこない親友の妹からの着信。 スマホの液晶画面にその名前が出た時の悪寒。 電話口の向こうから聞こえてくる悲鳴にも似た泣き声で全てを悟ったあの時の喪失感が、 この雨と共に蘇る。 「あ、お客さん!濡れちゃう。」 店員さんの呼びかけを無視して僕は花屋さんを出た。 あの時、会議を抜け出して病院に走ったように、親友の元へと向かう。