君と、キミと、それぞれの恋

あたし、安藤ゆめは、中高一貫校の雪川学園高等部に通う2年生。絶賛、恋してます!まあ、片想いなんだけどね。お相手は隣のクラスの結城拓海くん。

きっかけは、あたしが先生に呼び出されて科学室に行った時、結城くんが勉強していた…っていう単純なこと。あたしは結城くんが気になっていた。

あたしは中学の時に、いじめられていたところを同じクラスだった結城くんに助けられた、その時から、結城くんが気になっていた。

「どうしたの?」

結城くんが話しかけてくれた!

どうしよう。予想外のできごと。

落ち着け、あたし!

「あ、せ、先生に呼び出されてて…」

「大変だね。科学室ってことは理科の夏目先生か、それなら早く言った方がいいよ。夏目先生、怒ると怖いじゃん?」

「そ、そうだね。もっと話していたかったな。」

「いいよ、待ってるから。行っておいで。」

え!待っててくれるの…?

やっぱり結城くんは優しいな…

「うんっ!行ってくる!」

「行ってらっしゃい。」

そう言えばあたし、今日日直だった。担任の夏目先生に言われるまで忘れてた。

「安藤さん、このノート、みんなに返しておいてくれない?あと、このプリント配っておいて。」

夏目先生は、一見優しい女の先生だ。でも、ひとたび怒らせると怖い。

「わかりました!」

「ありがとう。」

大量のノートとプリントを持って、結城くんのところに行く。

「ふぅ。ただいま、結城くん。」

「おかえり。うわっ、その量、安藤持って行けるのか?」

「う、うん…多分」

「俺も手伝うよ。」

「ありがとう!」

こうしてあたしは、結城くんのおかげでノートとプリントを持って行くことができた。



「…め!ゆめ!」

「はっ!」

「また結城くんのこと想像してたでしょ!」

「あかり、ごめんごめん」

この子は宮本あかり、あたしの親友。

「ま、私は結城くんになんて興味ないけどねー。」

「はいはい、あかりにはひろ兄がいるんだもんねー。」

あかりは、1つ上のあたしのお兄ちゃん、安藤ひろと付き合っている。

「ゆめ、そんなに結城くんのことが気になるなら告白しちゃえば!?」

「ええええ!?むむむむむ無理だよ!告白なんて!!!だって結城くんがあたしのことどう思ってるかわからないし、急に告白されたって困るだけだよ!!」

「果たしてほんとーにそうかな?」

「へ?」

「安藤〜いるか?」

結城くん!!!!

「ほら!」

ひぇぇ〜!

とにかく話さないと!

「ゆ、結城くん、どうしたの?」

「これ。」

「ありがとうっ!探してた!」

「科学室に落ちてた。」

「ほんとにありがとう!」

妹のりんがあたしの誕生日にくれた、貝殻のストラップ。あたしが夏生まれで海が好きなことを知ってて、くれたんだ。

「宝物なのか?」

「うん!」

「その…好きな人とかから、もらったのか?」

「違う違う!妹がくれたの。誕生日に。」

「そうか。好きな人とか、いるのか?」

え!

「い、いるよ…。結城くんは?」

「俺も…いる。」

いるんだ…。まあ、当たり前か。1番の人気者だし、モテるよね。

「そっか。あはは」

「…」

結城くんは黙ってる。

何かを決心したように、結城くんは顔を上げる。

周りには、ただならぬ雰囲気に、やじうまが集まっていた。

「安藤!」

「なに?」

あたしは、できるだけ笑顔で結城くんを見る。

「安藤が…いや、ゆめが、好きです!」

え。

嘘でしょ

時間が止まった、気がした。

「中学の時、同じクラスで…。それで、気になってた。君がいじめられてる時に助けたのは、ほっとけなかっただけじゃなくて、好きな人がいじめられてるのを見るのが辛かったからだ。」

「返事…聞かせてくれるか。」

返事はもちろん…

「はい!あたしも、中学でいじめられてる時助けてくれて、そっから気になりだしたの。結城くんって優しいし、かっこいいから…。あたしも、好きです!」

「ありがとう!ゆめ!」

「ありがとう、結城くん…、ううん、拓海!」

「わーーー!!!」

やじうまたちの、黄色い歓声。

見られていたのは分かってたけど、やっぱり恥ずかしい。

今日は、あたしの、短き人生のなかで、いっっちばん、ハッピーな1日だった。

拓海も、そう思ってくれてたら、嬉しいな。