お母さんはこんな私を心配して、家事を中学生の頃からビシバシ鍛えられていて、掃除や料理は結構得意だったりする。


姉は社交的だし誰とでも仲良くできるけど、私は姉みたいにできないから、せめて家事だけでもとお母さんに仕込まれていた。


眼鏡取れば姉に似て美人なんだから、コンタクトにすればいいのにと親戚達にも言われていたが、コンタクトは何か目に入れるってだけで怖くて眼鏡にしてる。別に眼鏡を取ったから美人だなんて褒め言葉みたいなものだろうし、眼鏡なかったら自分の顔なんてボヤけてるし見慣れてるのは鏡にうつる残念の自分の顔だけだ。


夕食を作って食べていた時に、またインターフォンが鳴った。


画面みると先程に挨拶に来た隣の人だった。


「はい」


「あの、すみません。この辺にスーパーとかありますか?」


「少しお待ち下さい」


私は紙にスーパーまでの道を書いて玄関のドアを開けた。困った人には助けるのは人としてのマナーだしね。


「説明が下手なので紙に書いたのですが、分かりにくかったらすみません」


「ありがとうございます。醤油なかったので助かりました」


「あっ、ちょっと待ってもらっていいですか?」


そう言って私はキッチンへ行き、買い置きしてある醤油を持って行った。


「宜しければこちら差し上げます。買い置きまだあるのでどうぞ」


「いいのですか?ありがとうございます。今度新しいのお返ししますね」


そう言って隣人は部屋に戻って行った。


お返しなんてしなくていいんだけど。


近所付き合いは大事だけど、私もあまり人に関わるのは苦手だし、醤油くらいなら買い置きあるし減っても困らない。


それにまたあの爽やかイケメンと話すのは、私が無理だ。こんな格好、あんまり見られたくないし身だしなみなんて会社に行く時より最悪だ。


きっと隣人も私みたいな変な女とは関わりたくないだろう。