ズキンと胸が痛む。




思わず手を胸に当てると、七海さんが私を見て言った。





「奏ちゃん、お願い。ずっと朔と一緒にいてあげて。」



「七海さん…」





朔が時々見せる、寂しそうな目。




私を抱きしめてくれる時の力の強さ。





そして…





「やだなぁ、加菜さん。急に“ぶつかって”くるなんて。怪我はないですか?気分が悪いなら、帰られたらいかがです?」




笑顔で喋りながらも、目が笑ってない朔の顔。






“俺がお前を愛してやるよ”





あの時の、あの言葉の意味は何?





この社長令嬢と、いつかは結婚しちゃう運命なの…?




そしたら私は…どうすればいい?





さっきの胸の痛みで、ようやく気づく。





いつの間にか、私の中で朔への気持ちがこんなにも大きくなっていた。





苦手で、苦手で仕方がないけれど。





キス魔で、下心ありありなところも苦手だけど。







でも…認めざるを得ない。











私は、朔が好き…なんだ。