その声にはっと目覚める。




「奏、大丈夫か?かなりうなされていたけど…」




「朔……」




いつの間にか帰ってきていた朔の顔を見たら、涙が溢れてきた。




「大丈夫か…?」




そんな朔にぎゅっとしがみつく。





「…怖いの………」




朔は当たり前のように抱きしめ返してくれて、それが安心感となり、私は素直に言葉を口にする。




「もう…独りになるのが怖い。この前まで平気だったのに…。朔のせいだよ…」




「ははは、俺のせい?でも大丈夫。奏が独りになることはもうないよ。俺がいるだろ?」




だから、私たち恋人じゃないんだから。




…そんな冷静なツッコミができるほど落ち着いていられるのは、朔の温もりのおかげ。






「そういえば、おかえり。」



「そういえば、ただいま。」




お互い目を合わせ、笑い合う。





「かーなでっ。ただいまのチュー、お忘れじゃないですか?」



目の前で目を閉じる朔に、初めて自分からキスをした。





すると…




「きゃっ…!ちょっと、何すんのっ…」




あろうことか、突然お嬢様抱っこされる私。




思わず朔にしがみつく。