「自分を大事にしろと言っただろ?ここで暮らせばいい。金はいらない。その代わり…」




「その…代わり?」




何故だか、朔から目を反らせない。




視線が絡まり合って、解けない。




まるで金縛りにあったように、朔の瞳に捕らわれていた。




「…ご飯作って。ここで俺の帰り待ってて。それだけでいいから。」





…何、今の顔。



一瞬だけ見せた、今の表情。



何、寂しそうな顔してんのよ。




次の瞬間には、再び嬉しそうな顔してカレーを食べていたけど、今のは見間違いではない。




私も朔も、孤独を感じている者同士ってことか。




「料理作って待ってるって…私、あんたの彼女じゃないし。」




そんな憎まれ口しか叩けない私を、嬉しそうに見つめる朔。





お互いの素性がバレたところで、この男との一つ屋根の下生活が始まってしまったのだった。