「社長がお待ちです。こちらへどうぞ。」




無駄のない行動で私たちをエレベーターに乗せる秘書。





この人が、私を調べた人なのかな。





エレベーターの中では、誰一人会話をすることなく…





「こちらが社長室でございます。」




ついに、到着した。






「失礼致します。社長、岩塚様をお連れいたしました。」




秘書がドアを少し開け報告すると、中からお父さんの声が聞こえた。





「わかった。通してくれ。お前はしばらく下がっていて良い。」




「かしこまりました。…では岩塚様、お連れの皆様、どうぞ。」





朔がふうっと息を吐き、社長室に足を踏み入れた。





七海さんと私も、後に続く。








「七海、久しぶりだな。お前は元気でやっているのか?」




お父さんが、朔の後ろに隠れている七海さんに声をかけた。




「……そんなことどうだっていいでしょ。」





七海さんはお父さんと目を合わせようとせず、ぶっきらぼうに答えた。






ふと気づく。




この前、家に来た時も…





お父さんは朔にまず“元気でやっているのか”って聞いていた。





全く関心のない人にそんなこと聞くだろうか。





…だったら、お父さんは朔と七海さんのこと………