「当然文句があるだろ?ふざけんな!とかでもいいんだ。奏の気持ちをさ、お母さんにぶつけてみたらどう?きっと奏の心は、前に進みたいんだよ。だけど今日突然再会して、身体が追いつかなかったんだな。」




「朔…」




奏がギュッとくっついてくる。





「私…言いたい。文句いっぱい言ってやりたい。今更母親ヅラしないでとか、名前呼ばないでとか…いろいろ言いたい。」




「うん…そっか。じゃあ、俺も一緒に行くから、明日また駅に行ってみようか?」




「…いいの?仕事。」





こんな時にまで俺の心配をする奏が愛おしい。




「俺の仕事なら大丈夫。奏も明日は土曜で休みだろ?」




俺の言葉に、少しだけ微笑んだ奏。





「今日はずっとこうしててやるから、ゆっくり休め。」




そう囁くと、奏はすぐに眠りについた。





「…なーんて、どの口が言ってんだか…」




気持ちを親にぶつける、か。




奏に偉そうなこと言ってるが…




俺も、他人のこと言えた義理じゃない…よな。




自分自身の現実から背けるように、俺も目を閉じた。






ーー朔side endーー