腕を掴まれ、ドキンッと胸が鳴る。

「離してください!
本当に迷惑です!」

腕を振り払ってカウンターまで走った。

「おかえり、って、え?
顔色悪くない?酔った?」

伊波くんの姿を見つけて
安心する。

「そうかも、寝不足だったからかな。
今日はお開きでもいいかな?」

一刻も早くここから離れたい。

彼のいるここから。


「じゃあまた明日!
本当に大丈夫?一人で帰れる?」

伊波くんは本当に酔ったと思って
すごく心配してくれてる。

「大丈夫!本当にごめん!
また飲もうね、今日はありがとう!」

本当は酔った訳じゃないけれど
言えない。



彼に掴まれた腕がまだ
感覚を覚えている。