たわいもない会話をあてに
お目当のお酒を色々飲んだ。
「ちょっとトイレ。」
と、お手洗いに立つと
少しふらついた。
危ない危ない、今日はこの辺にしとこ。
トイレを済ませ、鏡を見ると
顔は全然赤くない。いつも通り。
これも酒豪と言われてしまう所以でもある。
本当は心のどこかでセーブしてるだけ。
弱くはないけど、
かなり強いってわけでもない。
よし、戻ろう。
とドアを開けると人影にぶつかった。
「あ、すみません」
「いえ、こちらこそ、
って茅菜?」
と言われると同時くらいに
顔を上げると、一番会いたくない人。
「どなたですか?
すみません、失礼します。」
顔を伏せて横を通り過ぎようとすると
「んなわけねーだろ。
おい、知らん顔すんなよ。」

