「ここだよ」

前と変わらず、お庭にはお花もあった。

だけど表札に、知らない苗字が書いていた。

「物心ついた時から、このお家だったの。お庭にはお花が。ママがお手入れして」

「そうなんだ」

「ここにいた時は、笑ってたのにな……」

「……いつか……」

「え?」

「いつか俺が、美稀を笑顔にしてみせる」

「……っ!」

「美稀の表情を、必ず戻してみせる」

蓮は、優しく微笑んでそう言った。

私は、ゆっくり頷いた。