「ーーき!美稀!」

「あっ」

「大丈夫か?」

「……」

「……10年前、雨の中運転していた車がスリップして、夫婦が事故死した」

「……っ!」

ーーギュッ

私は、スカートの裾を握った。

「名前は、春山美奈子さんと春山祐樹さん。この夫婦には、7歳の誕生日を間近に控えた一人娘がいた。名前は、春山美稀」

「……」

なんで……

なんで知ってるの……

隠してきたのに……

なんで……