「蓮!どこ?蓮!」

「ハア、ハア、ハア……」

「……!!!」

壁に寄りかかって、荒い息を吐いている蓮がいた。

「蓮!」

「大丈夫っ!!!」

「……っ!」

怒鳴るような声で、そう叫んだ。

ビックリして、足をとめた。

「大丈夫だから……」

そう呟いて、いなくなった。

私は、初めて私に向けて聞いた蓮の声に悲しくなってしまった。

だから、追いかけることが出来なかった。