不意に、上階の階段が騒がしくなってきた。

腕時計を見ると、昼休みも後5分。

午後の仕事に向けて、皆が動き始めたのかもしれない。

『時間…ですね』
『時枝君』
『はい?』
『約束するよ』

相変わらずのぼさぼさ頭の時枝君を見上げて、断言する。

『日曜日うまく乗り越えられたら、そのお願い、何でも聞く…だから、先ずは私を助けてください』

そう、ハッキリと口に出すと、時枝君が、初めて笑顔を見せてくれた。

『ハイ…頑張ります』



…これで何とか、役者は用意できた。

今夜は、徹夜で計画を立てなければならない。

”残り6日間で、いかに本物の恋人らしくなれるか?”

琉星と私の穏やかな日々の為に、明日から時枝君との特訓の毎日がスタートする。

仮初めの恋人まで、後6日。

運命のカウントダウンが始まった…。