自分を責めるように絞り出す言葉は、昨夜の後悔と共に、私への消えない想いに溢れていた。
違うのに…拓真君が、悪いわけじゃない。
あの時泣いてしまったのは、いきなり訪れた”リアルな恋愛”に、気持ちが対応しきれなかっただけ。
大丈夫だって伝えたいのに、あそこまで号泣しておいて、”何でもない”とは言い切れない。
何かを伝えたいのに、上手く自分の気持ちを伝える言葉が浮かばず、どうにももどかしい。
この気持ちを、どう伝えたら…。
『萌』
唐突に名前を呼ばれ、心臓がドクンと、跳ね上がる。
『許されるなら、もう一度チャンスをもらえないか?…もし、君に触れるなと言うのなら、出来る限り善処する…だから』
背を向けたままも、切実な思いが伝わっている。
あんな態度を取ったにも関わらず、私の気持ちばかりを優先してくれるその優しさに、このまま甘えてしまうわけにはいかない。
それよりも、自分の答えなど、とっくに決まっているのだから。
『拓真君』
ソファから立ち上がり、彼に一歩近づきながら、名前を呼んだ。
『もし私が手も繋がないでって言ったら、どうするの?』
『…手?』



