たった7日間で恋人になる方法

『今朝、掲示板で、牧村さんの辞令を知りました』
『牧村の辞令？ああ…そういえば、今日だったか』

まるで忘れてたとでも言いそうなくらい、何でもない風に、流された。

『あの辞令は、牧村さんに如月さんの件がバレてしまったから…ですよね？』
『ん？あ～…まぁ関係ないとは言い切れないが…』

やっぱり…予想が確信に変わった。

『あれは、私のせいです』
『…君の？』
『牧村さんに、時枝さんが如月さんと同一人物だとわかってしまったのは、私のせいなんです』
『どういうことかな？』

専務に先を促され、あの日のことを振り返る。

『先週の金曜日のことです、仕事の帰り際に牧村さんに会って、少し歩きながら話をしていたのですが、その途中で…近くの部屋に入らされて…』
『森野さん、その話は…』
『いえ…私、杉崎専務にきちんと聞いてもらいたいんです』

拓真君が制止するも、話を辞めるつもりはない。

状況をわかってもらうためには、あの時の嫌な記憶を呼び起こしてでも、話さなければならないのだから。

『その部屋で、牧村さんが私に…その…無理矢理、キスを…』
『そんな話、今ここでしなくてもいい』

拓真君が今度は強い口調で止めるも、組んだ手に力を込め、勇気を振り絞る。