…否
たった一つだけ、そうしても問題ない可能性があることに気が付いた。
例えば、そのリスクがもう…
『…バレるリスクが無くなった…とか?』
浮かんだ不安を、また美園が声に出した。
『それって専務が、拓真君を切り捨てるかもってこと?』
『そう考えれば、理屈は合うでしょ、どのみち解雇するつもりなら、今更隠す必要もないもの』
『でも、拓真君を変装させてまで、会社に留まらせた杉崎専務が、そこまでするかな?』
『う~ん…牧村さんがどこまで専務を追い込んだかわからないけど…もし、あの専務を窮地に立たせるほどの”ネタ”を持っていたとしたら…』
美園の脳裏に、何か思い当たる節があるのか、次の言葉を言いあぐねる。
『どういうこと?』
『これはあくまでも仮定だけど、もしも牧村さんが1年半前の真実を…つまり杉崎専務の汚名を時枝君がかぶっていたことまで掴んでいるとしたら、さすがに専務もあせるだろうな…って…萌?どうしたのよ?』
私は、目の前の出来上がった印刷物をひとまとめにすると、美園にそれをすべて手渡した。
『ごめん、美園。悪いんだけど、これ設計2課の田沼さんに渡してもらえる?』
『う、うん?それは、別に良いけど…』
『それと、少し席外すけど、適当に誤魔化しといて』
『えッ、萌??どこ行くのよ』
美園の質問に答える余裕もなく、執務室を飛び出し、長い廊下の先にあるエレベーターホールに向かう。
たった一つだけ、そうしても問題ない可能性があることに気が付いた。
例えば、そのリスクがもう…
『…バレるリスクが無くなった…とか?』
浮かんだ不安を、また美園が声に出した。
『それって専務が、拓真君を切り捨てるかもってこと?』
『そう考えれば、理屈は合うでしょ、どのみち解雇するつもりなら、今更隠す必要もないもの』
『でも、拓真君を変装させてまで、会社に留まらせた杉崎専務が、そこまでするかな?』
『う~ん…牧村さんがどこまで専務を追い込んだかわからないけど…もし、あの専務を窮地に立たせるほどの”ネタ”を持っていたとしたら…』
美園の脳裏に、何か思い当たる節があるのか、次の言葉を言いあぐねる。
『どういうこと?』
『これはあくまでも仮定だけど、もしも牧村さんが1年半前の真実を…つまり杉崎専務の汚名を時枝君がかぶっていたことまで掴んでいるとしたら、さすがに専務もあせるだろうな…って…萌?どうしたのよ?』
私は、目の前の出来上がった印刷物をひとまとめにすると、美園にそれをすべて手渡した。
『ごめん、美園。悪いんだけど、これ設計2課の田沼さんに渡してもらえる?』
『う、うん?それは、別に良いけど…』
『それと、少し席外すけど、適当に誤魔化しといて』
『えッ、萌??どこ行くのよ』
美園の質問に答える余裕もなく、執務室を飛び出し、長い廊下の先にあるエレベーターホールに向かう。



