『ちょっ、ちょっと!大変ッ、大変ですよ!篠原さん!!』
慌てて部屋に入ってきたのは、同じ係の立花香織。
何故かウマが合うのか、去年彼女のトレーナーでもあった篠原さんに、やけに懐いてるイマドキ女子。
『何よ、ノックもしないで、朝から騒々しい』
『おはよう、香織ちゃん』
『あ、森野さん、おはようございます』
助かった…香織ちゃんの登場で、篠原さんの執拗な視線から解放される。
『そんなに慌てて、どうかしたの?』
『あっそうそう!ビックニュースです!!…良いですか?皆さん、驚かないでくださいよ』
『もったいぶらないで、早く教えなさいよ』と、篠原さん。
興奮気味の香織ちゃんは息を整えると、仕入れたばかりの、”ビックニュース”を意気揚々と発表する。
『営業の牧村さん、異動らしいんです!しかも海外!!』
彼女の持ってきた情報に、篠原さんだけじゃなく、その場にいた女性陣が一斉にどよめいた。
『ちょっと、どういうことよ』
『ソレって、単に出張って話じゃなくて??』
『転勤だそうですよ』
『冗談でしょ?だって、こんな時期に、辞令なんて出る?』
『でも掲示板にちゃんと、張り出されてたし』
『立花さんっ、海外って、どこだった?』
『ニューヨークらしいです』
『マジかぁ』
『掲示板、見に行こ!』



