初めて味わう恥ずかしさと怖さで、自然と涙の溜まった目で見上げれば、さっきよりも熱の籠った目で見つめられ、この瞬間に、初めて拓真君が、”男”なのだとハッキリ自覚した。

溢れて零れる涙を指先で拭われ、ほんの少し申し訳なさそうにするも、その先をやめてくれるつもりは無さそうだった。

『萌…少しの間、俺に身を委ねて』

甘く囁かれたその声に、そっと目を閉じれば、フワリと優しいキスが降りてきた。

ゲームでは決して味わうことのできなかった、自らの身体に直接訪れる甘美な感覚。

静かな室内に、ベットのきしむ音とシーツの擦れる音が響き、あまりのリアルな臨場感に身体がすくむ。

大丈夫。

…私だって、いい歳をした男女がここまで来て、”そんなつもりじゃなかった” なんて、通用しないに決まってることぐらい、さすがにわからない歳じゃない。

現実の恋愛は未経験でも、バーチャルな恋愛は、いくらだってしてきたし。

こんな風に一線を越えることだって、ゲームの世界じゃ何度だってあったのだから。

それに…この行為が、【好きな人に愛されてる実感を、直に感じられること】だってことも、充分わかってる。

頭では、わかっては、いるんだけど…。