この体制って…。

加速度を増して心臓が跳ね上がった。

『萌』
『は…はい?』
『今のって、普通に告白と受け取っても、良いんだよな?』

拓真君の質問に、どう答えるべきか迷っていると、額にかかっていた髪を手の甲でスッと振り払われ、そのままそっと耳にかけられる。

『ッ…』

拓真君の指が耳に触れた瞬間、自分の口から予想外に甘い声が漏れ、思わず拓真君を見上げれば、拓真君も驚いた顔をしてる。

『萌…煽ってる?』
『ちッ、違うよッ…』

必死に否定してみるも、何故か私の反応を楽しむような様子の拓真君。

『そもそも、こんな時間に、男の独り暮らしの部屋に上がるって、もう少し警戒しないと…でしょ?』
『それは、だって…拓真君だから』
『俺だから、安心した?』

話ながらも、ゆっくりと近づかれ、思わずギュッと目をつぶると、『それは悪い気しないな』と、無防備だった額にキスを落とされた。

まだ、さして直接的に触れてる部分は少ないにも関わらず、拓真君の体温を身近に感じ、身体中が熱くなる。 

『拓真くん、ま、待って…』

更に距離を縮めようとする広い肩を、慌てて抑えて、抵抗を試みる。

『ね、今さっき、私の意志を尊重してくれるって…』
『そう思ってたんだけどね、こんな風に煽られたら、さすがに俺も…やっぱり耐えられそうにない』

拓真君の右手が、いつの間にか、着ているワンピースのフロントボタンにかかる。

『だから煽ってなんかいないって……んっ』

開かれた首元を軽く甘噛みされ、そのゾクッとした感覚に、自然と声が漏れてしまった。