一瞬、拓真君の言ったことの意味が理解できず、思考をフル回転させて、今言われたことの言葉の意味を考える。
『”ノーマル”の意味、わかるよな?』
『冗談…でしょう?』
『冗談なんかじゃない…普通に、好きになる対象は女性だよ』
衝撃の告白を淡々と口にする拓真君は、窓からの月明かりで、妙に色気が漂っていた。
無論、昨日までと違った、男の顔を覗かせて…。
『騙すつもりは無かったんだ…でも、君が最初に誤解して…』
『だ、だって、あの引き出しの中は?…そういうことでしょ?』
そうだ…いつだったか偶然覗いてしまった、拓真君の机の引き出し。
入っていた、写真や雑誌の数々はいったい何だったと言うのだろう?
拓真君は、何故かその問いには答えず、私の後ろに視線を送る。
『萌、後ろのラックに置いた雑誌をもう一度手にしてみてくれないか』
数歩後ろにあるローラックの上に、拓真君がさっき置いた、郵便物と雑誌。
言われたまま、そのすべてを手に取り、一番下にある冊子を手前にして、表紙を一瞥し自然と中身を開こうとして、手が止まる。



