☆
『そうだ、萌』
食後に、アイスのカフェオレを入れてくれた拓真君が、『良いもの、見せてあげるよ』と立ち上がる。
『何?』と聞くと、黙ってそのまま、先ほど冊子を置いたラックの向こう側に向かい、ベットサイドの窓際に立つと、『ここ来てごらん』と、手招きされる。
一瞬、呼ばれた場所が場所だけに躊躇するも、直ぐに意識しているのが自分だけなことに気づき、虚しい気持ちで席を立つと、彼の元に向かう。
部屋の一部を、ローラックと本棚に囲われただけのそのスペースは、大きめのベットを置いてもかなりの余裕があり、意外と解放的な空間が広がっていた。
『ここからの眺めが、最高なんだ』
拓真君は、窓にかかっていた薄地のカーテンまで開くと、窓の外を指差した。
言われた通りに隣に立ち、同じように彼の示す方向を望む。
『え…コレって…』
『向かいのマンションの隙間の、この角度しか見えないんだ』
確かに、さっきリビングスペースの方から眺めた時には、ほんの少ししか見えなかった夜景が、こちらの角度からなら、しっかりと見える。
何より、その中央にすっぽり嵌って見えるのは、オレンジ色にライトアップされた、東京タワー。
その美しさに思わず魅入ってしまうと、ふいに室内の照明が暗くなる。
『この方が、よく見えるだろ』
隣に立つ拓真君が、リモコンで部屋の明るさを落としてくれたらしい。
おかげで、目の前に広がる夜景は更にクッキリと鮮やかになり、その真ん中に高くそびえたつタワーは、その存在感を浮き彫りにし、まるで強く主張しているよう。
『そうだ、萌』
食後に、アイスのカフェオレを入れてくれた拓真君が、『良いもの、見せてあげるよ』と立ち上がる。
『何?』と聞くと、黙ってそのまま、先ほど冊子を置いたラックの向こう側に向かい、ベットサイドの窓際に立つと、『ここ来てごらん』と、手招きされる。
一瞬、呼ばれた場所が場所だけに躊躇するも、直ぐに意識しているのが自分だけなことに気づき、虚しい気持ちで席を立つと、彼の元に向かう。
部屋の一部を、ローラックと本棚に囲われただけのそのスペースは、大きめのベットを置いてもかなりの余裕があり、意外と解放的な空間が広がっていた。
『ここからの眺めが、最高なんだ』
拓真君は、窓にかかっていた薄地のカーテンまで開くと、窓の外を指差した。
言われた通りに隣に立ち、同じように彼の示す方向を望む。
『え…コレって…』
『向かいのマンションの隙間の、この角度しか見えないんだ』
確かに、さっきリビングスペースの方から眺めた時には、ほんの少ししか見えなかった夜景が、こちらの角度からなら、しっかりと見える。
何より、その中央にすっぽり嵌って見えるのは、オレンジ色にライトアップされた、東京タワー。
その美しさに思わず魅入ってしまうと、ふいに室内の照明が暗くなる。
『この方が、よく見えるだろ』
隣に立つ拓真君が、リモコンで部屋の明るさを落としてくれたらしい。
おかげで、目の前に広がる夜景は更にクッキリと鮮やかになり、その真ん中に高くそびえたつタワーは、その存在感を浮き彫りにし、まるで強く主張しているよう。



