たった7日間で恋人になる方法



拓真君の作ってくれた、ローストビーフをメインに、ミモザサラダとパンで、二人きりの最後の晩餐。

飲みやすいシャンパンは、せっかくだから一緒に飲もうと、少し強引に拓真君の分も注ぐ。

『飲んだら、車で送ってやれなくなるぞ』
『そんなこと気にしなくていいよ、それよりこのローストビーフ、美味しい!』

実は高木君のところで、いくらか食べたから、そんなにお腹は空いていなかったけれど、拓真君の料理は本当に美味しくて、お世辞ではなく箸が進んでしまう。

『良かった、そう言ってもらえると、昨日から仕込んでた甲斐あるよ』
『ごめんね…本当は、私の方がちゃんとお礼しなきゃいけないのに…』
『いや、こっちこそ1週間、面白い経験させてもらったし』

目の前でシャンパンを口にしながら話す拓真君のその表情から、気を使って嘘をついているわけでは無さそうで、安心した。

『…で、どうだった?俺の今日の演技は』
『完璧だったよ、堂々とした演技で、みんな疑ってなかったし…私の方がオロオロしちゃった』
『いきなり美園さんに、凄い眼で睨まれて”誰?”って聞かれた時は、ビビったけど』
『うん、美園が一番驚いてたかも、だって拓真君があまりにもいつもと違うから…』

言いながら、あの後、高木君たちに提案した、レストランのサービス手配の件を思い出した。