真っすぐ非難の目を向ける美園の視線に耐えきれず、思わず目が泳いでしまう。

高木君と徳永さんの善意には申し訳ないけど、この場は何とか嘘を付き通して、逃げ切るしかない。

『じゃあさ、こうしたらどう?』

それまで、美園とのやり取りを黙って見ていた高木君が、そう切り出した。

『来週この店に、その彼を一緒に連れてきたらどうかな?…こっちはまだ、森野さんがフリーかどうかわからないって言ってあるし、奴もさすがに男連れなら諦めるだろ?』

一瞬小さな間があり、続けて

『…もっとも、本当にいるなら…だけどね?』
『…!!』

もしや高木君には、私の嘘など、見破られているのかもしれない。

何かを見透かしたような笑みを返された。

『そうね!それ良いかも、森野さんの彼にも、是非会ってみたいし』
『あ、あの…彼の予定も聞いてみないと…』
『それも大丈夫じゃないかな?森野さんのこと本気だったら、何があっても来るでしょ?どうやら結婚も考えているようだし、男なら、大事な彼女をそんな場に絶対一人じゃ行かせないだろうからね』

高木君の正論に、ぐうの音も出ない私は、救いの視線を隣の親友に向けるも、”自業自得でしょ”と言わんばかりの顔で、『それが良いんじゃない』と一言。

逃げ場を失った私は、もう無駄な抵抗は諦め、ひきつった笑みを浮かべながら、目の前の親切な同級生達に、静かに答える。

『わかった…じゃ来週の日曜日ね』

かくして、翌日の月曜日から、私にとっては、人生を激変してしまうほどの一週間が始まった。