今朝、あの入力を私が一人で行ったと思っている課長に、その件で褒められたばかりだった。

私は全く気付かなったけれど、元となるデータのいくつかが間違っていたようで、そこも修正されていた上に、出来上がったデータをグラフ化して、明瞭化までされていたらしい。

拓真君は、やっぱり只者じゃないのかもしれない。

『そんなことより、萌、あんた日曜日、どうするのよ』
『どうするって?』
『まさか、すっぽかすつもりじゃないでしょうね?』

美園に言われ、ほんの一瞬”そういう手もあったか”と思ったけど、今更そんなことできるはずもない。

『行く…よ』
『あら、結構前向きじゃない…いよいよ現実の男、作る気になった?』
『それは、無いけど…多分、大丈夫…だと思う』
『何よ、それ?』

訝し気に見られ、つい拓真君のことを話してしまいそうになる。

事が全部済めば、美園にだけには話してしまおうと思っていたけれど、私にリアルな彼氏を作らせたい美園が、このことを知って、最悪当日邪魔しないとも限らない。

今は、話さないことが得策だ。

『私のことより、美園の方こそ、どうなのよ?』
『話、逸らしたわね、萌』
『そんなんじゃないよ…ただ、あれからどうなったのかな?って』
『どうって?』
『同窓会の夜、一緒にいた人と…もう、つきあってるんでしょう?』

素直に思ったことを口にしたのだけれど、なぜか美園に失笑されてしまった。