【せいらsaid】

「今日は校外学習のグループを決める」
「司会は花園、よろしくな」
え、私!?
「は、はいっ!」
突然名前を呼ばれたから変な声出ちゃったじゃんー、うぅ、恥ずかしい。
「では、先生に代わって司会を務めさせて頂きます。」
「まず、各自で4人から5人のグループを組んで下さい」
「組めた人達から、私に報告をして、席に着いてください。」
「くれぐれも、仲間外れのないようにして下さいね」
そういって微笑んだ。
男子に視線外されたような気がしたけど、気のせいかな?
「せーいらっ」
「ん?どうしたの、澄恋」
「せいらは当然私たちと組むよね?」
そう言って私を蓮たちのグループに引き入れた。
「、、、うん。」
私、校外学習行けるのかな、山登りだし、先生に許可貰えるかな。
でももし、校外学習で何かあったら、みんなに迷惑かける。
「せいらちゃんどうしたの?」
葵君にのぞき込まれた
「、、、っ。」
「な、なんでもないよ!」
笑顔を作って、教壇のもとに戻った、不自然だったかな、大丈夫だよね。

校外学習行きたいなぁっ、、、。
だめだ、泣きそう。
強くなったつもりだったんだけどな。
みんなといると、私だけ違うって感覚に囚われて、たまに泣きそうになる。
そんなこと考えてたら不意に蓮と目が合った。
蓮はなぜか悲しそうな顔をしてるように見えた。

「無事にグループ決めも終わったので次に当日の説明に入ります」
「まず、着いたら………………」


「なにも無く終わってよかったね〜」
「うん、良かったよ。」
「せいらなんか元気なくない?」
「そ、そんなことないよ?」
ほんとに、喧嘩なく終わってよかった。
考えてたって何も変わらないよね。
やっぱり澄恋には隠し事できないな
「なんかあったら相談してよね?」
「うん、ありがとう。」
澄恋に言えるわけない、言ったら壊れちゃう。
澄恋はいつだってそばにいれくれた。
そんな澄恋が居なくなったら私どうしたら……
そう、あのときだって



中学の時、私は病気が見つかってから体育をずっと休んでいた。
初めはみんなも何も言ってこなかったけど、それが続くうちに、ある女の子が私の悪口を言うようになった。
「なんでずっと休んでんの?」
「もしかしてぇ、運動出来ないから見られるのが恥ずかしくてとかぁ?」
その子は男子に人気があるんだけど、嫌い女子の前だと態度が反転。
周りを見下して、自分に逆らうものは許さない、まるで女王様かのようだった。
最悪なのは、彼女は蓮のことが好きだってこと。
だから蓮の近くにいる私が気に食わなかったんだと思う。
でも彼女から直接手を下されることはなかった。なんでかって言うと、私の家は財閥グループで、私の父の会社の下に彼女家が関わっていたから。
彼女が私をいじめているってバレると、彼女の家の立場が悪くなるから、手を出せなかったんだと思う。
こればかりは、家が大きくて良かったなって思うw
この家に生まれてよかったなって初めて思った。

ビシャッ
「っ……」
突然水をかけられた、振り向くと彼女が立っていた。
「あら、ごめんなさいw」
「見えなかったわ、影が薄すぎて」
これが毎日のように続いて、それを見ていたクラスメイトたちは自分たちが標的になるのを恐れて、次第に私を避けるようになったの。
それでも、澄恋はいつも一緒に居てくれた。
周りにどんな目で見られようとね
本当に感謝してる。
それとね、1番嬉しかったのは私が彼女に
「自分の家使って周りを振り回すとかタチが悪いわw」
って言われた時、澄恋は
「少し気に入らないからって散々酷いことしてきたくせに、家にバレそうなことはしないあなたの方が立ちが悪いんじゃない?」
「せいらはあんたみたいに卑劣じゃない、私の親友をあんたと一緒にしないで」
って言ってくれたこと。
彼女に対抗してくれたことより、親友って言ってくれたことが1番に嬉しかったな。

それからも、少し落ち着いたけど嫌がらせはあって、その度に澄恋が守ってくれた。
私はその時、1人で抱え込まないで澄恋に言ってよかったって思った。
言ったら一緒に居てくれないと思った。みんなと一緒で
でも澄恋は違って、澄恋が居なかったら私は独りだったと思う。
だから澄恋に何かあったら、命を掛けてでも守るってあのとき決めた。



「ねぇ澄恋、もしもだよ、もしも私が……」
「ん?」
「やっぱなんでもない」
だめだよ、澄恋に言っても何も変わらない。
隠し通すって決めたじゃない