それから…
ひと月が経とうとしていた。
妻は実家から子供と一緒に自宅へ戻っていた…
自分のごたごたでゆっくり子供の顔もみていなかったので、今になってやっと父親になった事を冷静に感じた…
がんばらねば…
遊んでる暇はない…
レイカの存在が薄れはじめた頃もこの頃だった…
裸のレイカの腕を無理矢理はねのけ、逃げる様に去ったあの日…
あまり思い出したくない!ひどい事をしたあの日…
それ以来、レイカの姿も声も聞いていない。

ある日店に出た時、店の若いマネージャーが声をかけてきた。
『鈴木さん?レイカって女知ってます?』
私はドキッとした…
しかし、なつかしい響きの名前に心が踊った。
もうやめた人間なので秘密もくそもないので
『えー知ってますよー』
答えた…
するとマネージャーはカウンター内の引き出しを開け、
『これを渡す様に頼まれました…さっき尋ねてきましたよ、すぐに帰りましたけどね』
それはレイカが好きだった熊のプーさんの便箋だった。丁寧に折り込んでとめてあった。
私は更衣室で便箋を開いて読んだ。