副総長さんは、どうやら私のことがほっとけないみたいです。






次の日、いつものように右京さんに学校まで送ってもらって、学校へ行った。



透真がなんで右京さんと距離をおけ、と言ったのかがわからない。

右京さんが危険人物ならまだしも、こんなに優等生なわけだし。





そして、休み時間。

いつも通り教室の席についていると、



「ひよちゃん!」



また、千里さんが来た。





千里さんに呼ばれて、無視するのも誰かの反感を買うし、素直に行くのも、なんか悔しい。


とはいえ、満面の笑みで私を手招きする千里さんを見て、私は開いていた本を閉じて立ち上がった。






「なんですか?」




手を広げてニマニマしてしまっている千里さんにすこし距離をあけて話す。



千里さんは昨日私が透真に預けた、ブレザーを羽織っていた。




「えっとね、ブレザー届けてくれてありがとう。
その、お礼言いに来た」



「いえ、別に大丈夫です。では」



「いや待って! 戻ろうとしないで! まだ話そうよ」





……この人、私が言うのもなんだけど、忘れ物のお礼って名目がなくても休み時間になったら私に会いにくるつもりだったのでは?