【日和side】
昨日は廊下で注目の的になったせいか、なんか今日はクラスの視線がささってる気がする。
「あ、ひよちゃん!」
そんな中のお昼休み。
一番、大好きな時間といえばやっぱりお昼休みに限る。
教師の目を気にすることもなく、ゆっくり、一人でのんびりとお弁当を食べられる。
そんな至福の時間にきこえた、聞き覚えのある声とクラスメイトのざわついた音。
「……なんで」
私の席は廊下から離れているから、このまま大声で話されるのもあれだし、仕方なく千里さんの方へ向かう。
「……なにか用が」
「ん? お昼、一緒にどうかなって」
「昨日、お断りしたような」
「え? それは昨日の話だよね?」
今後もまとめてごめんなさいのつもりだったんだけど……。
「今日は用事、ないみたいだし」
千里さんが私の肩越しに目をやったのは、私が一人で広げようとしてたお弁当箱で。
用事がなく、一人でご飯を食べようとしてたのはバレバレだ。
仕方ないから、私はそのお弁当をもう一度包み直すと手にもって千里さんの元へむかった。
「……今日だけですよ?」
「うん、ありがとう。じゃあ資料室でもいい?」
「はい」
私はにこにこと爽やかに笑う千里さんに並ぶように歩いた。


