千里さんに合わせて透真に私も視線を送ると、あからさまに私から目をそらした。
……透真、すごい機嫌が悪そう。
透真は、多分千里さんのこと尊敬してるんだろう。
見ていればわかる。
そんな千里さんと私が仲良くするのが気にくわないんだと思う。
「ひよちゃん、今日のお昼一緒に食べない?」
千里さんがそう言うと、透真の鋭い目が私へ向いた。
断れ。
そう言われてるみたいだ。
近づくなって思ってるんだと思う。
「……ごめんなさい、お昼は用事が」
「え? ほんと?」
嘘だけど。
千里さんは、それなら仕方ないね~と、私の頭をポンポンとした。
「じゃあまた今度誘うよ」
「……すみません」
私は、“今後もお誘いは受けられません”という意味で謝ると、注目された視線たちにも限界で、さっさと教室へいこうと透真たちに背を向けた。
「ひよ」
「……なに?」
透真の声で一度足をとめた。
「……ひよに、千里さんは似合わないからな」
今のを見て、なにを勘違いしたんだろう。
「別に私は、千里さんのこと好きじゃないよ」
「あ、そう」
誰にも、もう執着はしないと決めてるから。
好きになることはない。
「安心して」
「ふーん」
私は駆け足で階段を上った。


