「いって……」
いい音がなったなぁ。
とか、そんなことを言ってる場合ではなく。
「あ、の……ごめんなさい」
恐る恐る後ろを振り返って謝ると、顎をさすりながらニコニコと微笑む千里さん。
あれ? 何で、笑ってるの……?
「今さ、頭にキスしちゃった。謝るひよちゃんも見れたし一石二鳥かな?」
……頭にキスではなくて、確実に頭突きでした。
本気でそう思ってるのかな、この人。
本気で思ってるなら、結構やばい人だと思う。
ニコニコとたえない笑顔が、すでに怖い。
「あれ、っていうかなんで名前……」
私のこと、今“ひよちゃん”って呼んだよね?
名乗った記憶もなければ、そもそもなんでそんな距離近そうな呼ばれ方をされてるのかもわからない。
「ん? 香月日和さんでしょ? だからひよちゃん。」
千里さんが透真に視線を移しながらそう言ったので、姉弟だとわかったのか。と納得した。


