「また会えたね! よかった、君を待ってたの」
「え……」
「名前聞き忘れちゃったし、僕、すごく一方的だったなって思ったから」
彼は嬉しそうに私の手を両手でとると、ブンブンと振った。
……忘れてなかったんだ。
「僕、どうしても話したくて。
君、真面目そうだったし朝から学校来ると思って待ってた」
「待ってたって…………」
正気?
昨日のは、冗談じゃなかったってこと?
「僕、長谷千里っていいます。千里ってよんでほしいな」
「え、っと。千里……先輩?」
「先輩つけなくていいよ」
「ええっと……」
「おい! 千里さん! 先、い、くな! お前ら邪魔!」
すると、千里……さんの背後から女子をあしらいながらこっちへくる、一人の男子。
見慣れた顔と声。
家族なんだから一瞬でわかる。
「えっ、ひよ?」
「透真…………、この人と、知り合い?」
透真は私の顔を見るなり、顔を背けた。