【日和Side】





「……日和、なんかあった?」





そう言って右京さんが私の顔を覗きこんだ。






「えっ、なんでもないよ?」





昨日ちょっと謎な告白されたとか、右京さんに話してもどうにもならないことだし。




というか、右京さんにとっては関係ない話だろうし……。






「それならいいけどね、」





右京さんはそう言ってスッと私の右側から左側に立つ場所を変えると、頭をポンポンと撫でた。






「何かあったら、言ってね」





右京さんの横を車が通りすぎる。




車道側に立ち直してくれたんだなぁって、右京さんの心地よい手にすり寄りながら嬉しく思った。




右京さんはやっぱり大人っぽくて紳士的で、学校にいるヤンキーとかとは大違いで。





…………そういえばあの人も。



この学校には似合わないような、爽やかでそして紳士的な柔らかい雰囲気を持っていたなぁと思い出す。





……なに思いだしてんだろう。







「じゃあいってらっしゃい。また迎えに来るね」




右京さんはいつものように裏門で私を見送ると来た道を引き返していった。