【日和Side】





「はぁはぁはぁ…………」




ダッシュし疲れて廊下で息を吐く。





『僕、君が好きだよ』




突然、名前も知らない人に告白をされた。



『僕に執着すればよくない?』



彼はそう言った。




「意味……、わからない」



私のことなにも知らないくせに。


私が、どんな想いで人に執着できずにいるか、知らないくせに。



それで私のことを好きだなんて。





「からかわれただけかな……」



そうだと思う。


きっとそうだ。



チラッと光に照らされて見えた彼の顔はとても整っていて、物腰も柔らかくて。



女の子達が放っておかないだろう。



こんな地味で、目立たなくてなんもできない私のこと、きっと彼は明日になれば忘れてるだろう。



だから私も、



「……忘れよう」






なかったことにしよう。


きっと、明日はいつも通りの日常だから。