やっと入学式が終わって、半分寝ている蒼空の手を引いて、
やっとの思いで教室に戻ってきた。

席について周りを見渡すと、あちらこちらで
新しい出会いが繰り広げられている。

すると、後ろから肩を叩かれた。

「?」

なんだと思い振り返ると、前髪まできっちりしまったポニーテールの
かわいい!という言葉がぴったりな女の子がいた。


「私、遠野はな(とおのはな)!よろしくね!」

びっくりした。きっと世間はこういう人を勝ち組というのだろう。


「あ、い、井上そらです!よ、よろしくね!」

「そらってひらがななんだ!」

「そうなの!私は……」


楽しい高校生活が送れそう。
そう思えば、前向きになれた。