「・・・のぞーー」
「いい・・・・、好きなように、感じたままに声出せよ。
・・・・・・・お前の声は・・不本意だが好ましい」
初めて面と向かって四季の要素を褒めたと思う。
驚きに染まっていたその表情がゆるゆると崩れて、その眼に涙を溜めるくせに口の端は小さくあがった四季がすぐにその口元に指先で軽く押さえる。
「・・・・困ります・・・・」
「・・・・・・何が?・・・・ああ、【仕事】に感情的な物を混ぜるのがか?」
ここにきてまたそんな事をを口にするのかと若干身構えて自ら指摘すれば、小さく首を横に振ってそれでも無言で下を向く四季。
四季は四季なりに何か思う所があるんだろうか?
矛盾だらけの行動や言動。
それでも感じるそれに嫌悪は見えない。
むしろ・・・・好意的に感じるというのに・・・・。
「・・・・だから、口を隠すな」
「っ・・・はい」
再びどうにもならないもどかしさの波を打ち破るようにその言葉を四季に向ける。
返事をしてスッと顔を上げた四季がじっと俺を見つめ遠慮がちに俺の肩に華奢な白い手をかけてきた。
「・・・・あ・・の・・・・・・、」
「また質問か?」
「すみません・・・・・。でも、・・・質問というよりは・・・・・お願いが・・・・・・」
どれだけ似たような時間を繰り返したのか・・・。
インターバル長い・・・。
それでも不快に感じない心地よさに冷めるどころかずっと継続する熱。
むしろ、今この瞬間が頂点の様な・・・・・。
「・・・・・何だよ?・・・・言え・・・」
「・・・・・抱きしめてほしい・・・
・・・って、言う要望は・・・・お怒りを買いますか?」
これだよ・・・・・・。
馬鹿女、
今まさに関係を持とうとしているって言うのに、
天然な純情的お願いしてくんじゃねぇよ。
そんな言葉に見事純情に反応して胸が苦しい俺も・・・・、
大概・・・馬鹿で単純な男なんだな。



