暴君と魔女



「馬鹿でも魔女でも何でもいい・・・、

せめて、俺の腕の中でだけはただの女でいろ」

「・・っ・・望さ・」


「命令だ。・・・黙って俺に愛されておけ」



驚いた。


こんな演技めいたセリフを口にした自分に、


だけど、一番驚いたのは・・・。


瞬時に俺の唇に自分のそれを重ねた四季に。


勢いのままに重なった唇に、触れて驚き、啄ばまれてリミッターが外れた。


挑まれた様なキスに今度は責めるように角度を変え重なりを深めていく。


先にそれをした意地なのか、今度は必死にキスについてくる四季を重なりを解く事なく自分の位置と入れ替え、壁に縫い付けると胸元に指先を走らせた。


編み上げになっている胸の縛りをスッと解けば、普段は隠している肌を晒すには充分すぎる緩みが出来る。


躊躇いなくその無防備になった箇所から指を滑り込ませながら白くハリのある肌を晒し、細い首に唇の熱を移していった。



「・・・っ・・・望・・さま・・・」


「・・・何だ?」



首筋に触れたまま返事を返せばそれがくすぐったかったのか四季が軽く身を捩って、その反応一つに見事惹きつけられて欲が高まる。


本当・・・・子供か?俺・・・。


初めての行為にワクワクする中学生じゃあるまいし。


と、どこかで軽く呆れもするのに、それを見事煽ってくるのがこの女。



「・・・はぁっ・・・っ・・・熱い・・・です」



言葉の通りに扇情的に表情を苦悶に変える四季が恐ろしいくらいに色気を孕む。


早まる呼吸の乱れを耳にし、時々紅い印を刻みながら四季の肌に唇を這われば、



「・・・っ・・・あっ・・・・」


「・・・・お前でも・・そんな声出すんだな」


「・・・・、へ、変です・・か?」



いや、変とか思って言ったわけじゃない。


何とも不思議な感覚を覚えて口にしただけの事。


そう、俺が聞く事はない筈だった声を聞いてしまった様な感じがして、思わず口にして四季を見つめれば。


四季はそれがおかしなことだったと言われたように羞恥し自分の口を手で覆っているのだ。