暴君と魔女






望んでいた筈の重なりに歓喜と悲哀の両者の健在。


苦しくて足りなくて・・・満たされる事を望むのに、


決して満たされない契約を魔女と結んだ。


自分の愚かさもまた呪いなのかと悲痛に苦しむ胸の内を隠して口元で笑う。


激しく痛みを伴う触れ合いなのに痛みすら快楽に感じそうな歓喜。


矛盾だらけできっと無様で惨めな自分。


ああ、そうか・・・・。



今こうして・・・・魔女に呪いをかけられたんだ。








呼吸を奪いまともな意識を掻き消す様な重なりを繰り返す。


時々漏れる息と呼吸の苦しさから逃げるように悶える四季に逆に欲情して更に呼吸を奪っていく。


助けを求めるように俺の腕を掴む非力な手すらも、今は自分を刺激するものであると早まる心臓に教えられる。


罪悪感、背徳感、僅かにも浮かんでいたそれもここまで本能に呑まれれば薄れて消えた。




「っ__はっ・・・・」




相当の限界。


それこそ本能的に呼吸を求めて全力で俺の体を押し返し唇の重なりを解いた四季が、足まではその力が及ばずスッと重力に従順にその身を下げるのを咄嗟に支える。


そして俺を見上げるグレーの瞳と視線が絡んだ。







理屈でなく・・・・・、



誤魔化しや言い訳も全て打ち崩せば・・・・。






愛おしいと思ってしまった。


だからなのか、気がつけば赤く熱を持った頬に指先を走らせ、皮肉や怒りのない感情のままの自分で四季の顔を覗き込む。



「・・・・・っ・・・の・・ぞむ様・・・・」


「・・・・・不本意だ」


「・・・・・あの?」


「いや、予想外・・・・・予定外というか・・・・」


「い、言っている意味が・・・・」




戸惑い俺を見上げる姿。


それすらも予定外の感情を生み出して、、




「・・・・・・・お前を欲する事は俺の人生の予定外だったんだよ」




不服そうに眉根を寄せそう言いきると、驚く四季を一瞬捉えすぐにまた唇を重ねようと顔の距離を縮める。


でもそっと唇に触れたのは求めていた感触でなく白く細い指先の物。


添えられたその意味を探るようにグレーを見つめれば、すぐに伏せてその繋がりを切った四季が躊躇いながら声を響かせる。