暴君と魔女









【愛】って・・・・なんだよ・・・。





そんな物、・・・この写真の女たちに期待できると思っているのなら・・・・。


お前は馬鹿だ・・・・。


気がつけば・・・・、


四季の手からその写真を床に払い落してしまっていた。


ばさばさと音を立てた瞬間に自分のしたことを理解して不動になる。


された四季はさぞ驚くのかとその反応に怯えたのに、目の当たりにする予想外に自分の中の葛藤を強くする事になる。


それこそ自分の手から勢いよくその写真を払われた時には落ちた写真を見つめ不動になった四季。


それでもその瞳を僅かに揺らした後に再び柔らかい頬笑みを浮かべると、スッとソファーから身を降ろし写真を拾い集めその腕に抱え呪いの様な言葉を吐く。



「どうなさったんですか?いけませんよ望様・・・・、愛を持って行動しないと呪いはーーー」


「黙れ・・・・・」



さすがに俺の声に負の感情が混じれば、口を閉ざし俺を見上げる四季。


それでもその表情には俺を畏怖する様な物も悲哀も移さない。


その代わりに見透かす様なグレーアイがまっすぐに俺を見つめこの後の反応を待ちかまえているように見えた。





初めて・・・・・四季にみられるのが恐いと感じる。





「・・・・・・【愛】や【呪い】だの馬鹿馬鹿しい。俺にとっての婚姻はただこの地位を守れる為の子供を得るためだけ物にすぎない。

お前はただ・・・・・それを最も与えてくれそうな女を選べばそれでいい。それが・・・・・お前の仕事だ」



激しい鼓動に苦しみながら、それでも【らしい】言葉をなんとか弾くと深く息を吐きソファーに沈む。


歪む顔を隠すように片手で覆うと、微かに自分の手が震えているのに舌打ちが出る。


おかしい、おかしい、おかしい・・・・。


今まで保ってここまで来たものが、どうして今は耐え切れずに感情が露わになる?


この頂点で居続けるには暴君である事が一番苦しまずに人生を過ごす術だったというのに。


自らの手で闇をつくりそこに沈むように目蓋を閉じる。


早く早く・・・、戻らなければと焦燥感が働いて。


暴れる心臓を握りつぶしてでもいつもの平常心を取り戻したいと苦悩する。


瞬間・・・。