暴君と魔女






そして今更気がつく彼女の心情。


寂しくて寂しくて寂しくて・・・、


それを僅かでも埋めるものが俺という存在だったのだと。




「・・・・・離れたから・・・愛してないわけじゃないのよ望」



女神の声が・・・・、


僅かに震える。


だけどそれに気づかぬふりをする。


そうして視線を静かに動かして、同じように傷を負っている小さな小鳥を見つめて目蓋を閉じた。


似たような傷を負った3者の沈黙。





愛とは何か・・・・。






その愛し方と捉え方に迷走し今も尚足を止める。







































その目に朝日を通せば、


ああ、朝のだと理解する。


目覚めじゃない。


目覚めとは眠っている状態からのそれであって、再び不眠になった俺のそれは目覚めではなくカーテンの開け閉めに近い感覚の目蓋の運動。


そうして体を起こせば多少の回復を見せている体が中途半端な疲労を示し。


倦怠感の方に安堵しゆっくりベッドを離れると流れ作業的に服を着替える。


悲しいかな休日の憂鬱。


自分にとっての催眠剤となるそれが機能しない曜日に眉根を寄せ、それでも出社して仕事をしようかと部屋を出る。


すでに住み慣れた桐子さんの家は全体的に白を基調とした居住空間に点々と植物の緑が溢れている。


壁はこれでもかというほど光り取りのガラス窓で覆われて、夏なんかは暑いだろうなとうっすら思う。


だけど季節的には初冬に近い今日は空は厚いグレー一色で、外も珍しく気温が低そうだと感じる。


肌寒さを感じ習慣であるコーヒーを飲みにキッチンに入って、その瞬間に酷く緊張した。


俺を見上げたのはくりっとした純粋な黒眼。


相も変わらず無表情なのだと一番に思い、すぐに上書きしたのは前以上にという言葉。


ダイニングの椅子に座り1人何やら紙を折り曲げていたらしい秋光に、視線が絡んで固まってそしてすぐに外すとキッチンにたちコーヒーを淹れた。


存在が無い様に、気づいていないように背中を向け淹れたコーヒーを口にする。


心音が僅かに乱れるのを感じながら後ろの小さな気配に気を配り、どこか働く警戒心。


暗に【近づくな】の威嚇を示し、妙な沈黙の空間でお互いの存在を意識する。