思わず口走った言葉の中に混じった四季への恨み。
弾いた後に気がついて、その言葉を弾きだした自分の心の内に心底驚く。
その言葉を吐いてしまった口元を気がつけば覆って、言ってしまった感情に怯えて震えて視線を落とした。
違う・・・・、
そうじゃない・・・、
恨みたくない・・・、
あいつが俺にしたように、その抱いている重みを理解して受け入れて見守って・・・・。
俺から離れた今もせめて小さくでも幸せである事を願うのが俺のすべきことだと言い聞かせているのに・・・・・。
「・・っ・・・・・」
静かなオフィスに大きく反響する。
感情任せに払い落したデスクの上のキーボードや書類が床に散らばり、それを捉えて力なく笑う。
亡霊。
もう死んだ筈の感情が時々現れては俺を脅かして爪痕を残す。
それが怖くて・・・・・仕事という名の薬を過剰摂取し入りこむ隙間を埋めていたというのに・・・。
「・・・・・・・・・どこに・・いる?」
今も・・・・どこかで歌っているのだろうか?
何を思って・・・・誰を思って・・・。
今も・・・・お前がいなくなった理由が分からないんだ。
だからこそ生まれてしまう恨みが恐くて俺は自分を殺し続ける。
お前がいなくなった理由は、
俺よりも、
秋光よりも守りたいと思う何かがあったからなのか?
「・・・・馬鹿らしい・・・・・」
気がつけば亡霊に取りつかれていたと自分に嘲笑を漏らし、それを取りはらうように感情を消していくとオフィスを後にして帰路についた。



