「四季・・・・・、どうした?何故・・・泣いている?」
捉えて見降ろす姿の戸惑い。
酷く困惑したグレーアイの揺れ動きに自分の不安も煽られて、頬を濡らす涙にいい意味は感じられず。
震える唇が言葉にならない音を響かせ、この時間を築く直前の四季を連想させ懸念事項を確認した。
「四季・・・・、何か・・・俺の先見をしたのか?」
躊躇いながら確認すればしっかりと俺を見つめ返してきた四季が首を横に振る。
そしてまっすぐ透き通るグレーが俺を再度確認すると、間違いはないとその言葉を告げた。
「望様の未来はもう見えないです・・・・」
「本当に?」
「残念ながら・・・・」
「別に・・・残念じゃない。必要ない」
今更そんな物は期待していないと告げると四季の頬に指先を這わせた。
一瞬、何か見てそれに動揺したのだと思った。
なのに四季の言葉には嘘は感じない。
俺の先見は出来ないのだと納得する。
でもだったら・・・
「何を思って・・・・泣いた?」
再度確認の言葉を響かせると、落としていた視線をスッとあげ俺の顔を覗き込んできた四季がふわりと微笑む。
いつもの・・・微笑み。
偽りもなく、嫌悪もしない。
そんな笑みで俺を見上げた四季がそっと俺の頬に指先を這わし言葉を返す。
「あまりに・・・・幸せすぎて不安に・・・・・」
「・・・・四季?」
「・・・望・・・・を、愛してるの・・・・・、ずっと・・・傍にいたい・・・・・」
そう切なげに告げた四季が俺の背中に腕を回し小さくそれを懇願した。
「抱きしめてください・・・・・、」
四季の言葉が速かったか、俺の抱擁か。
抱きしめ、存在を確認し、お互いの不安を掻き消していく。
しばらくそうして抱きしめあって、少ししたら何事もなかったかのようにこの後の話を嬉々として語り始める四季の姿。
秋光の事や、もし反対された時の事。
未来予想図を語る四季は無邪気で愛おしいいつもの姿で、あの不安材料を静かに奥へ押し込めていく。



