暴君と魔女





守りたかった?


傍にいる為に?


ああ、馬鹿が・・・・。


馬鹿女・・・・、


それは・・・・、



「馬鹿・・女・・・・、それは男のセリフだ・・・」


「・・・・望様は・・・・お坊ちゃまだから私が守らなくて誰が守るんですか?」




ああ、馬鹿だ、馬鹿で馬鹿すぎて・・腹が立って・・・・、





・・・・・愛おしい。




時に・・・・体は感情に素直だと理解する。


気がつけば重なっていた唇にすぐに酔いしれ、そっと控えめに背中に回った微弱な力とぬくもりに熱くなる。


心臓が・・・早い。


苦しくて、目が回りそうなのに心地いい。


その不思議な感覚の余韻に浸りながら唇を離し四季の顔を覗きこめば、透き通る様なグレーアイと視線が絡みすぐに向けられる柔らかい頬笑み。


自然な・・・・いつもの・・・・。




「望様・・を・・・・・愛してます・・・・、」


「・・・・言うのが・・・遅いんだ馬鹿女・・・・」




返事としては最悪なのに、その言葉に四季が微笑んだのは多分。


俺の誤魔化しきれなかった口元のせい。


感情のまま上がってしまった口の端に気がつくと、誤魔化すように唇を重ねそのまま深めて口付けに溺れた。




























甘くて・・・熱い。


耳に響く声と、絡む熱と、体を占める快楽。


今までも繰り返した行為に感情の色を上乗せすれば、それはもう理性の効かない本能のままの情事。


汗で肌に張り付く髪すらも感情を高める要素の一つで、何一つとしてこの行為を阻むものがない。


歯止めの効かない律動が、整えられていた姿など思い出せないほどシーツに皺を広げ。


その上に力なく沈んでいた四季の手に指先を絡めた。


その刹那に思い出したようにその手を自分の目の前に持って来て、指の細さを確かめるようにじっと見つめれば。



「望様?」


「・・・・・・まさか・・・7号でも大きいか?」


「は?」


「ありきたりだが・・・お前の手にはダイヤの方が似合いそうだな・・・・」



驚きに染まった四季のグレーに、何を驚く?と更に言葉を重ねていく。



「結婚も・・・ある意味契約って物だったな」


「の、望様、・・・ダメです!そんな・・・無理です!」


「・・・あっ?ここにきて本当は好きじゃないとか言ったら殺すぞ」


「望様の事はむしろ殺されてもいいくらいお慕いしてます!そうでなくーーー」



思わず言葉を聞き終わらず唇を塞いだ。


こいつはどうしてこう・・・・。


俺の心を見事に翻弄する。