暴君と魔女






「四季は・・・需要を求めていない?」


「・・・・・そうね。需要が大きいほど・・・・あの子が求める愛し方が出来なくなるのよ」


「分からない。・・・・お互いを思って傍にいる事だけじゃ解決にならないんですか?」


「・・・・・普通は・・・大方の恋人たちはそれで解決するのかもしれない。・・・・・でも、あなたと四季ちゃんの愛は・・・・複雑に反発する」



ここまでくれば・・・・四季の本音も見えてくる。


いや、薄々は確信があった本音。


違う、確かに感じていた物。


四季は・・・・・俺を愛していると思う。


言葉以上に素直に反応する態度や仕草。


表情・・・・。


だからこそ、その頑なな拒絶に複雑な葛藤が巡るんだ。


確かに同じ思いでいる筈なのに、どうして俺の物になりえないんだと。


まだ・・・、まだピースが足りない。


答えが明確に分かる為への重要な部分が。


その答えすら・・・・目の前の女神はその手に握りしめているのだと見つめ上げてしまった。


物欲しそうな視線だっただろうか?


俺の焦った心なんてとうに見通して上から見守っている女神の何か計る様な眼差し。


そして一息つくと動き出した艶やかな唇。



「・・・・望」


「・・はい」


「グダグダ悩むのやめなさい」


「・・・・・・・・・・・・・・はい??」



耳に入った言葉はどう解釈すべきだ?


怪訝な顔でその姿を見上げれば、面倒だと髪をくしゃくしゃと掻きみ出し、はぁっと大きく息を吐きだした女神がにっこりと微笑む。



「悩むな動け」


「はっ?だから動こうにもどう先を見据えるかーーー」


「そんなもん恋や愛に必要ない!先を考え策を巡らせるのなんか仕事だけでいい。男だったら花束の一つや二つ手に真正面から本音伝えてくりゃいいのよ」



人に・・・指差すんじゃねぇよ。


呆気に取られながら最初に浮かんだ感想がそれだ。


今までの深刻な悩みの受け答えに一気に強引な幕引きをしてきた叔母はにこにこと一人満足げに俺を見降ろす。


ここまで来てそんな単純な返答をされるとは思わなんだ。