暴君と魔女







「困ったわね。・・・・私からは答えを言えないのよ」


「じゃあ、・・・・ヒントをください。俺が答えを言い当てるのはあなたが話した事にはならない」



とにかく何か答えを導きたくて、この自分ではどうにもならない四季の心を少しでも知り得たくて縋りつく。


惨めで・・・・、最悪の醜態だ。


しかもこの人の前で。


そう思うのにプライド以上の執着。


声では冷静さを演じるのに、口から出したのは懇願。


それに気が付いている女神が口元に小さく弧を描くと視線を静かに落としていった。



「・・・・・恋は・・盲目。・・・・とは、よく言った言葉よね」


「・・・・は?」


「恋って感情は、今まで持ちえた自分の能力を鈍らせるほど可動量が必要なのよきっと」



一言目で俺が疑問の声をあげたのに、仕方ないと眉をさげ新たな分かりやすすぎるヒントを口にした女神。


その言葉に半分くらい胸に渦巻いていた葛藤が掻き消された気がする。


そ・・・うか・・・・、そうだ、俺も・・・・つくづく馬鹿だ。


確信を得た答えに項垂れ溜め息をつくと顔を覆う。


よくよく考えれば上手く繋がる答えに、何故今まで気づかなかったのかと呆れるほど。



「馬鹿女が・・・・」



舌打ち混じりに悪態をつけば、クスリと笑う桐子さんが俺を覗き込む。


その視線に不服そうに視線を戻すと、気がついた答えを女神に問う。



「つまり・・・・供給ができなくなってきていたと?」


「良くも悪くも、あなた達の関係はその始まりから成り立っていたんでしょう?」


「・・・っ・・・まぁ、そうですね」



始まりは・・な。


あの能力しか見ていなかった。


何の感情も芽生えなく、あの力を四季が失っていたとしたら簡単に切って捨てたのだろう。


だけど・・・・、今は違う。


それは・・・あいつだって理解してくれていると思っていたのに。


結局俺の気持ちなど1ミリも伝わっていなかったのかと落胆し視線を落として複雑な感情に沈む。


能力で四季を求めていたと、それで四季も必死に能力を維持しようとしていたのかと思い切なくなる。