馬鹿だと思っていたが・・・・・救いようのない馬鹿だったな。
勢いのままにナイフを手に突っ込んでくる彼女を真正面から対峙し、ナイフを持つ腕を難なく掴むと暴れる体を拘束する。
その間に外にいる屈強な警護要員に声を響かせ、中に入ってきたそいつらに彼女を引き渡すと何事もなかったかの様に上着を脱いだ。
「ちっ、鈍ってたか?」
不覚にも傷を負った腕に舌打ちをし、特に深手でもない傷口を確認していれば。
恨みつらみを口にしながら警備に連れ出される女の醜態。
ああ、こんな面倒事も久しぶりだ。
自分の不快な出来事が重なった時間に溜め息をつくと、スッと目蓋を閉じて静寂を求めた。
「・・・・・・・・会いたい」
零したのは安堵の存在の渇望。
そして見落とす、
四季の存在価値・・・・、
四季からした自分の存在理由。



